【スカルノ大統領】バリ初の国際ホテルと日本の関係
バリ島・サヌールの海沿いに建つ
Bali Beach Hotel The Heritage Collection。
穏やかな海を望む
ビーチフロントホテルとして
知られていますが、このホテルには
バリ観光の歴史を感じられる
特別な背景があります。

Bali Beach Hotel は、インドネシア初代大統領スカルノの構想により、1962年に建設が始まりました。
そして1966年11月1日、Sri Sultan Hamengkubuwono IX (ハメンクブウォノ9世)によって正式に開業しました。開業当時の名称は InterContinental Bali Beach Hotel。バリで初めての国際基準ホテルとして、インドネシアが世界に向けて観光国として歩み出す象徴的な場所となりました。
バリ島には、建物の高さに関する制限があります。一般的に「椰子の木より高い建物を建てない」という考え方で知られており、建物の高さは約15メートル(約4階建て)までとされています。このルールは、バリらしい景観や文化、宗教的な空間を守るためのものとして知られています。
そのため、ホテルやヴィラも、バリ島の高さ制限にあわせて設計されています。
そんな中で、Bali Beach Hotelはとても珍しい存在です。
ホテル公式サイトでは、Bali Beach Hotelはバリ島で唯一15メートルを超える高さが認められたホテルであり、9階建ての建物として紹介されています。これは、Bali Beach Hotelがバリの高さ制限が一般化する前に建てられた、歴史的なホテルであるためです。

日本との関係
Bali Beach Hotelは、単なるリゾートホテルとして建てられたわけではありません。
このホテルは、インドネシアの国家的な観光開発プロジェクトの一つとして建設されました。インドネシアの国営建設会社 PT PP の公式プロフィールでは、Bali Beach Hotelは、Hotel Indonesia、Ambarukmo Palace Hotel、Samudera Beach Hotel とともに、日本政府からインドネシア共和国へ支払われた 戦後賠償に関連する大型プロジェクト の一つとして紹介されています。
ホテルに残る、未完成の歴史的レリーフ
Bali Beach Hotelを語るうえで欠かせないのが、館内の Soekarno Lounge に残る大きな石のレリーフ作品です。

このレリーフのテーマは、「Indonesia Yang Akan Datang」。日本語にすると「これからのインドネシア」、または「未来のインドネシア」という意味になります。
作品の大きさは、横約23.4メートル、高さ約3.7メートル。素材には、ジョグジャカルタ・ムラピ山由来の安山岩が使われていると紹介されています。
レリーフには、農業、漁業、彫刻、伝統文化、社会活動など、インドネシアの人々の日常が細かく描かれています。中央には、インドネシア初代大統領スカルノが、男の子を抱いて立つ姿が表現されています。
このレリーフは、スカルノ大統領時代の国家的プロジェクトの中で制作されました。当時、スカルノ大統領はホテル、空港、記念碑などに芸術作品を取り入れ、インドネシアの文化や国家の姿を示す公共空間を作ろうとしていました。このレリーフも、その時代に作られたホテル内の芸術作品の一つです。
作者については資料によって表記が異なりますが、このレリーフは、スカルノ大統領と関わりのあった芸術家 Harijadi Soemadidjaja(ハリジャディ・スモディジョジョ) がデザインした作品とされています。
また、インドネシアの彫刻家 Edhi Sunarso(エディ・スナルソ) や、Harijadiが設立した制作工房 Sanggar Selobinangun(サンガル・スロビナングン) が制作に関わったと紹介されています。
なぜ未完成のまま残されたのか
このレリーフには、現在も一部に彫られていない線のような部分が残っています。NusaBaliの記事でも、まだ彫られていないスケッチの跡のような部分が残っていると紹介されています。
このレリーフが未完成のまま残された背景には、1965年の 9月30日事件 があります。この事件の後、インドネシアでは政治体制が大きく変わり、スカルノ大統領の時代から、スハルト政権の オルデ・バル/新秩序体制 へと移っていきました。
新しい政権のもとでは、スカルノ大統領の影響やイメージを薄める動きが強まりました。オルデ・バル政権側が、レリーフに描かれているスカルノ大統領の姿を消すよう求め、もしそれを受け入れれば制作費を継続するという話だったようですが、Harijadiはそれを拒否しました。
その結果、制作費は止められ、Harijadiは自分たちの工房の費用で、できる範囲の制作を続けたとされていまが、最終的にこのレリーフは完成しないまま残されました。
1965年以降のオルデ・バル時代には、スカルノ時代を象徴するものや、スカルノと関わりの深かった芸術家たちが表舞台から遠ざけられることがありました。Harijadi Soemadidjajaも、スカルノ大統領と関わりのあった芸術家の一人であり、政権交代後はその名前や作品が大きく取り上げられる機会が少なくなっていきました。
Bali Beach Hotelのレリーフも、長い間、現在のように見やすい形で公開されていたわけではありません。1970年代から2000年代にかけては、レリーフの前に商業スペースが作られ、一般の人から見えにくい状態になっていた時期がありました。また、植物で覆われていた時期もあったとされています。
現在、このレリーフはBali Beach Hotelのヘリテージを象徴する存在として、再び大切に保存されています。ホテルの改修後も、レリーフやスカルノゆかりの部屋は歴史的遺産として残され、訪れる人が見られる形で整えられています。
現在のBali Beach Hotel





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現在は、落ち着いたサヌールでゆっくり過ごしたい方、歴史あるホテルに滞在したい方、ビーチ沿いでリラックスしたい方に選ばれるホテルとなっています。
サヌールは昔からバリ島の人気エリアの一つですが、近年はさらに開発が進み、より便利で活気のあるエリアへと変化しています。
海沿いには ICON BALI Mall という大型モールもオープンし、ショッピングや食事を楽しめるスポットも増えています。
サヌールエリアについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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