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インドネシア不動産の相場はなぜ分かりにくい?市場データが少ない6つの理由

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インドネシア不動産投資 実務コラム
インドネシア不動産市場は、
なぜデータが集めにくいのか

インドネシア不動産市場

「インドネシアの不動産価格の相場を知りたいが、日本の不動産取引価格情報検索サイトのような、信頼できるデータソースが見当たらない」——インドネシアでの不動産投資や進出を検討したことがある方であれば、一度はこうした壁にぶつかった経験があるのではないでしょうか。
結論からいえば、これは調べ方が悪いのではなく、インドネシアの不動産市場そのものが「データが公開されない・可視化されない」構造を持っているためです。本コラムでは、その構造的な理由を整理したうえで、実際の取引データに基づく市場調査がなぜ重要になるのかをお伝えします。

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理由① 成約価格を公開する制度がそもそも存在しない
日本には、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や、不動産業者間で成約情報を共有するREINS(レインズ)といった仕組みがあり、実際に成立した取引価格を後から確認することができます。
インドネシアには、これに相当する全国統一の公開データベースがありません。不動産ポータルサイトに掲載されているのは、あくまで売主・仲介業者が提示する「アスキングプライス(希望売出価格)」であり、実際にいくらで成約したかは当事者間の情報にとどまり、外部からは基本的に確認できません。

理由② 申告価格と実勢価格が一致しない
不動産の名義変更に必要なAJB(不動産譲渡証書)には取引価格を記載しますが、この記載価格が実際に支払われた金額と一致しているとは限りません。
買主が納めるBPHTB(土地建物取得税・5%)、売主が納めるPPh(譲渡所得に対する最終分離課税・2.5%)は、契約価格と政府評価額(NJOP)のいずれか高い方を基準に算出されますが、税負担を抑える目的で、当事者間の合意により申告価格を実際の売買価格より低く記載する商慣習が根強く残っています。
*実際の売買価格と異なる金額を意図的に進行する行為は、法令に抵触します。
つまり、仮に行政が保有する登記情報にアクセスできたとしても、そこに記録された「価格」自体が市場の実態を正確に反映しているとは限らないという、データの入り口の時点での歪みが存在します。

理由③ 土地登記制度が地域ごとに分散し、電子化の途上にある
インドネシアの土地登記はBPN(国土庁)が所管していますが、実務は郡・市(Kabupaten/Kota)単位の地方事務所ごとに行われており、全国34州・数百の郡市にまたがる情報が一元的なデータベースに統合されているわけではありません。近年は電子登記化(Sertipikat Elektronik)が進められていますが、取引そのもの(売買契約の締結)を電子的に完結できる仕組みはまだ発展途上であり、地域による情報整備の差も大きいのが実情です。

理由④ 権利証書の種類が複雑で、そもそも登記されていない土地も多い
インドネシアの不動産には、SHM(所有権)、SHGB(建築権)、SHP(使用権)といった正式な登記済み証書に加え、Girik・Petok D・Letter Cといった、村落レベルの慣習法に基づく旧来の課税台帳のみが存在し、正式な登記を経ていない土地が今なお少なくありません。こうした土地は、BPNの公式なデータベースに一度も登録されていないため、統計上「存在しない取引」として扱われてしまいます。
なお、これらの旧来の証書については、2026年2月2日以降、正式なSHMへの切り替えが行われていないものは権利証明力を失うとする規制(2021年政令第18号等)が既に施行されており、土地の権利関係の透明化は徐々に進みつつありますが、過去の取引データという観点では、依然として大きな空白が残っています。

理由⑤ 一次流通・二次流通ともに「非公開」が前提
新築物件(一次流通)については、デベロッパーが独自に値引きやキャッシュバック、家具付帯といった条件を個別交渉で提示することが多く、公表されているプライスリストと実際の成約条件が異なるケースが一般的です。中古物件(二次流通)についても、仲介業者を介さない個人間・知人間の取引や、地場の小規模ブローカーによる口コミベースの取引が主流であり、そもそも取引自体が「表に出ない」構造になっています。

理由⑥ 地域差が大きく、全国データではニーズに応えられない
ジャカルタ都心のグレードAオフィスや大型商業施設については、JLLやColliersなど大手仲介会社が四半期ごとにレポートを発行しており、一定の情報が存在します。しかし、住宅地、地方都市、観光地・別荘地(バリ、ロンボク、北スラウェシなど)といったセグメントについては、そもそも定期的な統計調査の対象になっていないことがほとんどで、投資判断に必要な粒度の情報を得ることが非常に困難です。

だからこそ、「実際の取引データ」に価値がある

以上のように、インドネシアの不動産市場においては、公式統計・ポータルサイトの掲載価格・行政の登記情報のいずれもが、実勢価格を正確に反映しているとは限らないという構造的な限界を抱えています。
日本国内の感覚で「調べればすぐに相場が分かる」と考えて投資判断を進めてしまうと、割高な価格で購入してしまう、あるいは将来の売却時に適正な価格設定ができないといったリスクにつながります。
私たちは、こうした構造的な情報の非対称性を踏まえたうえで、現地ネットワークを通じて収集した実際の取引データに基づき、インドネシア不動産市場の調査・鑑定評価をご提供しています。アスキングプライスや公式統計だけでは見えてこない実勢相場を把握したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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